芸術家と職人を二項対立すれば

音楽家が、あるいは画家・彫刻家が、職人から芸術家になってしまうと、作品数というのは減ってしまうらしい。

デザイン/アートの二項対立、あるいは職人/芸術家の二項対立はナンセンスではない(と、私は信じている)。

職人/芸術家

職人…注文があってから作る

芸術家…注文がなくても作る

具体的な用途があり、そのために作品を作るのが職人ならば、芸術的価値という正体のよく分からないものに身を捧げるのが芸術家である。

この二項対立はそのまま

コピーライター/詩人

あるいは

コピーライト/詩

の対立構造に該当する。

だが、その作品がコピーライトなのか詩なのか、作品だけを見ても分からない。

詩とコピーライトを分かつのは、その作品の消費のされ方にある。宮沢賢治の詩をコピーに使えば、その文言はコピーライトになる。

あるいは、非芸術的な消費をされる。

広告のやましさ

どんなに素晴らしい文面であっても、広告であるというだけで、それについて語ることがそのまま宣伝になってしまう。

作品において、固有名詞が異様に排除されたり、映画の小物セットをわざわざ架空の製品に仕立て上げるのは、そういった事情が絡んでいる。

(すると、デカデカとコカコーラのペイントをアートにしたアンディ・ウォーホルの営みに疑問を覚える。ただ、あれはコカコーラというアメリカ・量産品の象徴だから辛うじて成立する作品であり、あれがスプライトなら、ペプシであっても成り立たないだろう)

職人は誰のために作品を作るべきか

バッハの曲はもれなく演奏会用のピースになっているが、元々は踊るための音楽だったりする。また、教会で演奏するための音楽が、宗教関係なしに演奏されたりもする。

職人の作品というのは、あるいは職人のあるべき創作態度とは、芸術的価値を追い求めるのではなく、クライアントの要求に応えることである。

芸術の困難さとは、あなたの知らない人を感動させようとするためであり、知っている人を喜ばせることを目的とするなら、抽象的な芸術理論を云々する必要はなくなる。

問題は、職人同士が作品を審美的に見る場合である。芸術概念の起こりは、同じモチーフに携わる職人二人が出会った時に発生する。

あるいは、同一モチーフ(と、鑑賞者・消費者から見なされた)作品が2つ以上存在するときに発生する。

芸術と批評のハードル

作品が批評の俎上に上げられるためには、芸術作品として見なされるためには、乗り越えるべきハードルがある。

日本国歌である君が代は、美的判断の対象にならない。君が代は

  • 日本の古来の歌よりとられている
  • 西洋式の国歌ではない

この2つの条件により、アートではなく民芸品・民族芸術となる。ネパールの真国歌も同様。

そして、それは手紙であってはならない。宛先の人に分かれば、喜んでもらうための文書が手紙である。手紙を公共に引きずり出す必要性はない。

また、広告であってはならない。製品が生産中止になって、製作会社が倒産していれば容易になる。

作者が可哀想であってはならない。アートセラピーの末に作成された作品への批評は、公にするべきではない。

実用品の実用面は芸術的判断の対象にならない。デザインは別だが、デザインにも実用面がある。

また、類似の作品がなければならない。

あるいは

審美的批評は必ず、「類似の作品」フィルターを通して行われる。作品Aに関して人類が普遍的に感じる「似ている作品」はあろうはずもないが、それぞれフィルターはある。

真剣ジョークと不真面目非ジョークの間

「実験音楽」の作品中、ピアノ奏者がピアノの下に隠れたり、奇声を発したりするものがある。観客は笑って良いのか迷うが、「これは笑って良いのだ」と思ってしまうと、それは「音楽のパロディコント」になる。

仮に、ジャクソン・ポロックが笑いながらあのような絵を描いていたら、今の彼の名声はなかったろう。抽象絵画をバカにするための活動だと思われる。

コメディが皆不真面目だというのではなく、アート作品として見なされるためには

「真面目に作品を作成しました」

と、鑑賞者から見なされる必要がある。

…サン・サーンスの「動物の謝肉祭」第4曲「亀」を、普通に楽しんで良いものか迷う。第11曲「ピアニスト」がギャグなのは分かるが、アップテンポでやる曲を超スローにしたって、現代人の自分からすればサンプリングを上手にしたなと思うだけである。

そして考えれば考えるほど、アンディ・ウォーホルがなぜ売れたのか謎になってくる。「芸術的価値」など訳のわからないものを追い求めず、ひたすらに商業的成功を求めた姿勢が、アーティストのアンチ・ヒーローとして写ったのだろうか?

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桜田真助
  • 桜田真助
  • Twitterアカウント:@yamakawa6500
    92年大阪生まれ。なにもかも分かったような気に最近なっていて、これはダメだなと焦って疑問を探している。プロフィール画像は友人(@leilamarinacb)から頂きました。

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