(クラシック)音楽の採点競技性と、クソゲーの極北

(あけましておめでとうございます)

下手くそなバイオリンに味は出ない。音の外れたバイオリン演奏は、耳に辛い。

ロックバンドなどだと、下手くそなベース・ギターでもそれなりに聞ける。 

クラシック音楽に”下手ウマ”がいないことは、クラシック音楽をある種の採点競技足らしめている。

ミスタッチをすれば、観客にそれが伝わる。

…ブーレーズのピアノソナタ・あるいは現代音楽(コンテンポラリーミュージック全般)の幸不幸は、失敗したかどうか分からないことである。

採点競技的側面の幸不幸

アムラン が、CPEバッハのピアノソナタを演奏している音源をYouTubeで聞いた。アムランはミスタッチをして、音がなぜだがジャズ風になっていた。

“そういう音楽”だと聞けば、ミスには聞こえない。しかし、アムラン の演目は古典派時代のピアノ曲であり、現代曲ではない。また、アムランはアレンジを加えるとも宣言していない。

仮に、ロックバンドがノートをミスして、たまたまそれが想定していない和音を形成した場合、ライブアレンジか遊び心か何かだと思われるだろう。

(特に、そのアーティストが即興要素を多く入れるアーティストなら)

テレビ番組のプログラムで、歌下手王なるプログラムは組まれていた。あの企画をガチンコでやるなら、いかに音程を外すかのコンペティションになるはずだが、参加者は歌下手と呼ばれることに不本意であるスタンスをとり、ガチンコ勝負を免れていた。

落語とクラシック音楽

落語家と、クラシック音楽の演奏家には共通点がある。双方、何百年も前に作られた作品を演じる。

落語もクラシック音楽も、演奏に正解はない。だが、正統派の解釈はある。

(あんまり音を出しすぎたりテンポを変えたりすると、編曲扱いになる)

ストコフスキーという指揮者は楽譜の改変で有名だが、今の時代にあれをやったら編曲扱いだろう。 昔は、指揮者がスコアを改変することなど珍しくなかった。ロマン派時代の曲でも、平気でスコアを改変していた。

ピリオド演奏など、できるだけ当時の楽器で音楽を演奏しようという風潮が出てきたのは、ここ50、60年の間のこと(らしい)。

ラカンパネラと好みの問題

YouTubeで、九人の演奏家が弾いたリストのラカンパネラ集があった。フジ子・ヘミングだとか、ユンディ・リがラカンパネラを弾いていた。

「ここまで行くと好みの問題だ」とのコメントをコメント欄で見つけたが、この人は「好みの問題」に達しない基準を内面に設定していることがうかがえる。

確かに、素人のもたついたラカンパネラは鑑賞しても楽しくない、値しないと私の審美眼も告げている。

しかし、”作品の良し悪しは好みの問題である”とのテーゼをラディカルに展開するのなら、前述した聞けたものではない素人のラカンパネラも、フジ子・ヘミングのらカンパネラも並列され、同じ俎上で語られてしまう。

私の内面は、全ての作品および価値観と感性を並列していない。趣味の良し悪しの基準を内面化している。

あらゆる演奏を僕が価値並列しないのは何故だろうか? 思うに、一番引っかかるのは練習の存在ゆえである。

何年間も必死にピアノを練習してきた人間と、ピアノを適当に数ヶ月練習してきた人間の評価が、同じであってはならないと感ずる。…源泉はこのあたりにありそうだ。

真面目/不真面目の転倒

最近はジェニーハイでベーシストしても活躍しているお笑い芸人「くっきー!」が、テレビ番組上で「お前いっつもふざけるやん」なる問いかけ(?)に対し、「芸人やから、ずっと不真面目なんは真面目みたいなもんやろ」と返答していた。

先程の「歌ヘタ王」ではないが、ここでは価値観の転倒が観察できる。

しかし、「いかに下手に演奏するか」をラディカルに追求すると、最終的に「大音量のノイズ」になっていく。あるいは単なる無音。

歌ごとに音程・メロディは違うはずなのに、”下手”を根本から追求していくと、皆同じになってしまう。…なってしまうのだろうか?

思うに、ここにも「人体の限界」が絡んでいる。「良い料理」はなかなか極め尽くせないが、「悪い料理」ならすぐに掴める。毒物がそうだ。

クソゲーとして名高い「スペランカー」だが、スペランカーは世界一有名な”クソゲー”であって、「世界一のクソゲー」ではない。最初から最後まで、一応はプレイできて、操作もできるゲームが、世界一ダメなゲームなわけがない。

これも見たのはYouTubeだが、クソゲー専門のレビュワーが、「今までプレイした中で、いちばんダメなゲーム」と評したのは、カーレースゲームなのに車が動かないゲーム以前の代物だった。

ゲームパッケージはかっこよく撮られているのに、いざプレイすると車が動かないのである。これはもう、ゲームの良し悪し以前に、詐欺案件である。

(この「詐欺」なる概念も、考え出すと頭がこんがらがる。前情報がなければ詐欺は発生し得ない)

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桜田真助
  • 桜田真助
  • Twitterアカウント:@yamakawa6500
    92年大阪生まれ。なにもかも分かったような気に最近なっていて、これはダメだなと焦って疑問を探している。プロフィール画像は友人(@leilamarinacb)から頂きました。

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