韓国語が固有語で、日本語で漢語のケース一端

以前書いた記事の固有語ー漢語系語彙版である。こういう状況にまで至る経緯の検証は専門家に任せよう。

なお、韓国では存在はするが使用頻度が低い語なども載せている。ないわけではないがあまり使わない語。

  • 服 옷 

日本語の固有語(和語)だと、ころも 平安時代以降は きぬ だったらしい。ころも はそのまま くるむもの の意である。きぬ もまた素材名であるため、普通名詞になりにくかったのかも知れない。通常、中国語と日本語だと名詞は日本語の方が字面は長いのだが、中国語 衣服yīfu より短い。また、韓国語でも服복は使うが、単独では用いない。

  • 去年 지난해  

和語である きぞ がいつのまにか廃れてしまった。なお、韓国では漢語系の 昨年작년 という言い方もある。去年거년はあまり用いられない。理由は不明。

  • 一緒 

ともに よりも 一緒に(元は一所に)が優勢になったのが不思議である。「一緒にご飯食べに行こう」とは言えるが、「ともにご飯食べに行こう」というと時代劇みたいになる。漢語よりも和語の方が文語的な響きを帯びる例が少なくないが、 一緒に ともに はその内の一つ。

  • 象 코끼리 

象ゾウ という同音語が多い語が標準名になった。なぜだろうか。

  • 愛 사랑

사랑は思量から生じた説もあるのだが、おそらく固有語だと思われている。和語ならおそらく 愛 は おもい(思い 想い)だろう。

  • 蝶 나비 

カパピラコ カハヒラコ がいつのまにか廃れた。かつて、蝶は不吉なものと思われていたらしいので、その影響かも知れない。

  • 天道虫※ 混種語 무당벌레

和語はおそらく ナナホシ だろうか? 

  • 感じる 느끼다

느끼다 あるいは英語のfeelにあたる和語がない。思うも違うし、受け止める も違う。

  • 勿体ない 아깝다

元々は 物体モッタイない。と書いたらしい。和語だと ものおしい物惜しい だろうか? あるいは無駄惜しい(無駄は漢語風の和語)。

  • 蛾 나방 

これもおそらく、カパピラコカハヒラコがある種の忌み言葉であったがゆえ、和語が漢語に置き換わった。

  • 御飯 밥

この前まで勘違いしていたのだが、밥は固有語らしい。ただし、古代漢語あるいは古代の北方地域のコメから直接借用した可能性はある。日本語のコメは、オーストロアジア語族であるベトナム語のcơm と同語源の可能性がある。

  • 忍辱 마늘

ニンニクは、僧侶の隠語あるいは仏教用語だったらしい。和語はおそらく ノビル。

  • 同士 끼리  

どち から漢語の影響を受けて、同士になった。だから、半分和語? ではある。

  • 晩 밤

晩と音がにすぎているが、晩は中国語に遡っても-m韻尾ではない。固有語らしい。

  • 天 하늘 

そら≒하늘である。 日本語のそらは、そらんずる や そらぞらしい など、「ない からっぽ」の意味合いがある。하늘は古語でいう天 あま・あめ に近い。日本語だと 天テン という場面でも、韓国語は 하늘 という。

  • 最後 마지막

和語だと、마지막にあたるものがない。終わり は 끝 に近いし、終い は しまう の連用形である。韓国語で最後최후は、本当に何かが終わるときに使う語。

  • 地 땅

天テンと地チ と日本語でいうとき、韓国語だと 하늘과땅という。もともと、土つち は 大地も包含する概念だったのが、現代では意味範囲が縮小し、漢語 地チ が かつての 土つち の範囲に食い込んだ。なお、日本で地面というときも땅という。

  • 深夜 새벽 

よふけ よなか の和語もあるが、使用頻度で言えば、よなか 深夜 よふけ(やや文学的な語)だろう。

  • 非道い 너무하다

古語だと、現代でもたまに使われる無下が使われていたが、これも漢語である。ただし、韓国語の너무하다は「やりすぎ」とも解釈できるので、韓国語には ひどい にあたる固有語が言葉がないとも捉えうる。なお、無道무도하다 はある。……日韓共に固有語がない語なのかも知れない。

  • 天気 날씨 

天気という語は、日本だと千年前から使われており、もしかすると文書からではなく中国から直接学んだ語なのかも知れない(倭人が大陸にいた頃に学んだ)。日中で使われているが、同じ漢字文化圏では使われていない不思議な語である。なお、ニュースなどでは일기日気という語も使われるが、日常会話では使わない。

  •  土台 바탕 

바탕は、日本語だと〜をもとに、と似た使われ方をする。だから、日本でも固有語優勢である。注意。

  • 愚痴 푸념

元々仏教用語であった愚痴が、意味の変遷を経て日常語になった。韓国は仏典由来の言葉が日本よりも少ないなと思ったりもする。

  • 附子 不細工 못난이

醜い女もあらわす 醜女しこめ が、死語になってしまった。一往、韓国にも추녀醜女という語はある。日本人は勘違いしがちなのだが、ブスとブサイクは別語源である。

  • 肉 고기

これに関しては、日本語が相当に奇妙である。肉meatという語を固有語ではなく外国語で言う言語が日本以外であるだろうか。肉食が忌諱キキされていた時期も長いらしいので、その影響だろうか。……しかし、タイは肉ニクは固有語である。不思議だ。

  • 席 자리

자리 は日本語だと席セキと、場所ばショを表す。かなり抽象度の高い語である。和語は むしろ らしいが、むしろ は藁の敷物なども意味していたので、いつのまにか意味範囲が狭まり、そして敷物文化が廃れた結果、セキおよび英語のシートが優勢になった。

  • 絵 그림

日本語の かく は 描く 書く 欠く 掻く 全て同語源だと思われている。石を削って絵を描いた時代があった面影がある。自動詞でもあり他動詞でもあり、また名詞に無理やりすると かかれ かかれしもの だろうか。韓国語は、書く と 使う が同語源の쓰다 であり、描くは그리다であるが、物書き・作家を글쓰니と言ったりする。日本語と少し似ているかも知れない。

  • 様子 〜よう

日本語の 〜ようだ は漢語の様由来である。和語は めり らしい。機能語になった漢語はベトナム語と比べて日本語にはあまりないのだが、〜よう は例外である。

  • 野郎

韓国語にも 子息자식 が日本語の野郎のような使われた方をされるケースがあるので、今回取り上げるには適当ではないのだが、놈や녀석にあたる和語がないので今回とりあげた。なお、日本語の 奴やつ は 놈 や 그것 にもなる。

日本語は、日常的に使う一人称が外国語由来のものがある珍しい言語である。僕ボク は おわします→ゴザいます 尾籠おこ→ビロウ と似ており、元々訓読みだったものが音読みに転じた事例。

  • 阿呆 莫迦

アホもバカも中国語由来らしい。日本語は罵倒語の少なさが外国語でも話題になるが、かつて日本では罵倒語で有罪になっていた時期があるらしく、その時期に沢山の和語由来の罵倒語が死語になった可能性がある。

  • 柵 울타리

訓読みだと誤認されやすい語の上位。サク。日本語にもともと 境さかい があるので、馴染みやすかったのだろう。また、訓読みと音読みが偶然一致した説もある。

 ※花瓶 雑草 꽃병.  잡풀

雑草に関しては、잡풀と잡초両方の言い方がある。混種語である。ザツくさ ザッソウ。

花瓶に関しても、꽃병も화병の両方ある。はなビン。カビン。

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桜田真助
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    平成大阪生まれ。Webライターとして活動中。仕事の依頼等はTwitterにお願いします。プロフィール画像は友人(@leilamarinacb)から頂きました。

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