テクストの結束性を学んで、「文章の達人」になろう!

Gordon JohnsonによるPixabayからの画像

私は、Aという話をしたあと、Bという話をし、その後に”CならばD”という一連の理論的帰結を、Cを語ることなく、飛び越えてDを語ったりする。

皆様に申し訳ないと思っている。

「俺は話題が豊富なんだ。アイデアが湯水のように湧いてくるのだ」と、自慢がしたいのではない。

私は支離滅裂である。

「お前の話は分かりにくい」と面と向かって言われたことはない。しかし、陰口はおそらく叩かれている。

“話すとき”と限定したが、書くときもそうだ。普段、業務の上では、クライアントにSEO対策だとかなんだとか、講釈をエラそうに垂れているのにも関わらず、プライベートでは何も活用していない。

今回だけは形式的ではあっても「反省」して、「分かりやすく書く」方法を解説することにより、「分かりやすく書く」方法を会得する荒療治に挑もうと思う。

(”今回だけは”と書いたのには理由がある。どうせ、スタイルを意識的に改めないことは経験則から分かっている。できない約束はしてはならぬ)

テクストの意味

「テクスト」という単語に親しんでいらしゃるだろうか?言語学者・哲学者などが各々に定義付けてはいるが、さしあたり「読めるもの」と捉えていただいて構わない。

そして

  • テクスト読解に役立つ便利な概念
  • テクストを読解するためのキーワード
  • 日本語教師などが外国人に「わかりやすい日本語」とは何か説明するためのキーワード

として

結束性というコトバがある。この概念を、例え話と例文を交えながら解説しよう。

結束性を例え話で説明する

「テクスト(文章)に結束性がある」とはどのようなことなのか?

「ボールをキャッチしなければいけないゲーム」を想像して欲しい。

  • 四方向から飛んでくるボールをキャッチするゲーム
  • 正面からだけ飛んでくるボールをキャッチするゲーム

どちらがより簡単だろうか?

もちろん後者である。前者の場合は、単純計算で後者の4倍の「ボールが飛んでくるルート」がある。

パラグラフ・ライティング

※パラグラフとは「文章を区切ったひとまとまり」を意味する。

学術論文などは、各章の冒頭に、「その章内で問題提起するトピックの提示・話題の展開」をするという不文律がある。

先述した例を見れば分かる通り、展開を予測できる方が、理解と把握が容易になるためだ。

ビタミンCについての論文があったとして、章の冒頭が

ビタミンC誘導体の問題点は、製造するための機械設備の導入費用の甚大さである」とあったとして

この論文は、「ビタミンC誘導体の製造コスト・経済面についてのパラグラフなんだ」と予想できる。しかし、先の「ビタミンC誘導体…」の文章に続き

ビタミンC誘導体の効能は、およそビタミンCの2倍程度であり、これはカロテンの効能と同等である。カロテンを発見したのは、フランスの科学者であるロ・サント(1958~)だが……」と続けることは、あまり親切ではない。

逆説的パラグラフライティング

ちなみに、哲学者のスラヴォイ・ジジェクは、著作タイトルを「ワザと意味をなさないようにしている」と語っている。

ただし「On Belief(日本語訳:「信じるということ)」や「How to read Lacan(日本語訳:「ラカンの読み方」)など例外もあるので、全著作ではない。

「不可能を求めよ」

「trouble in paradise」

「もっとも崇高なヒステリー者」

などなど。

節約をしたいと思って「嘘みたいにたまる!驚きの節約術!」というタイトルの本を買う人、ポケモンの攻略情報を知りたいと思って「ポケモン攻略大全」を買う人は当然いる。

しかし「不可能を求めるとはどういうことなのか?」「崇高なヒステリーを知りたい」と思って本屋さんに行く人はいない。ジジェクの本の題は「この本の扱う題材は、多岐にわたってますよ」「何かの実用書ではないですよ」というメッセージが含まれている。

ジジェクは親切だ。

一文一義

テクスト論ではなく、「一般的な文章指導」で使われるキーワードだが、その中に「一文一義」というものがある。

一つのセンテンス内で扱うことがらを、一つの限定する」というテクニックだ。

『Dragon Ball Z』の悟空とベジータは、ライバルとしても友人としても競争と協力を繰り返し、ピッコロと魔人ブウとは事情が違うが、地球への侵略者であった両者が時間差で地球の守護者となっており、「神様」であるデンデを保護するのはドラゴンボールを守るためではなく、結果的に「ヒューマニズム」がドラゴンボールを保守していて、二人は地球への愛着があることが伺える

「わかりにくい文章を書く」ことが苦手なので、あまりいい例を挙げられなかった(世の中には、信じられないような文章を書く猛者がいる)。申し訳ない。

上述のパラグラフを「一文一義」のメソッドで修正すると

『Dragon Ball』の悟空とベジータは、ライバルとして、友人として、切磋琢磨する仲にある。しかし悟空もベジータも、かつては『地球への侵略者』だった。ピッコロも魔人ブウも、『地球への侵略者』であったことに変わりはない。だが、悟空とベジータの仲は特別である。

地球の「神様」は、デンデである。悟空でもベジータでもない。この二人は、デンデの地位を力で恫喝したり、暴力で言うことを聞かせようとしたりしない。

しかし、二人のこの行動は「ドラゴンボールを守るために」行っているのではない。純粋に「ヒューマニズム」から由来している。悟空とベジータの「ヒューマニズム」と、「地球への愛着」が、結果的にドラゴンボールを保守している

補足説明と接続詞を足してしまったが、後者のほうが読みやすくないだろうか?

まとめ

早い話、「テクストの結束性を高める」というのは「説明書のように文章を書く」ことを意味する。

問題は、「人は説明書を楽しめない」ことである。だから、人はテクスト内に例え話を導入したり、話題を迂回したりする。

今回とりあげたキーワード・概念は、あくまでも「一流派のテクニック」であることを忘れないで頂きたい。

桜田真助
  • 桜田真助
  • Twitterアカウント:@yamakawa6500
    92年大阪生まれ。なにもかも分かったような気に最近なっていて、これはダメだなと焦って疑問を探している。プロフィール画像は友人(@leilamarinacb)から頂きました。

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