反精神医学のバリエーション

「精神病」という概念に反発を覚える人がいても不思議ではない。

事実、少なからぬ割合で「精神病とは、政治的要請に基づいて仕立て上げられた概念である」と主張する人もいる。

精神病が「病気」であると認定されることにより、うつ病や統合失調症が国民医療保険の対象となる。

無理やり、「精神不調対策制度」なる仕組みを作って税金を投入するよりは、「病気」認定してしまったほうが収まりが良い。国民からの反発も抑えられる。

そういった発想で、精神”病”は成立したという考察はありうる。

反精神医学のバリエーション

地球は平らである」と主張する人は少なくないが、学者はもちろん、一般人からも見放されている。まともに信じているのは、多く見積もって世界に200人程度だろう。

反精神医学陣営は、地球平面説陣営に比べれば、はるかに強固である。一般にもそれなりに膾炙している。

反精神医学の基本バリエーションは3つである。

  • 「精神病」などと呼ばれているものは、すべて政治的理由から要請された捏造である
  • 統合失調症には、細胞や脳内物質など、科学的に観測できる範囲での変化がない。よって、うつ病には顕著な脳内の反応変化が見られるため、”精神病”として見なしてもよいが、統合失調症はそうではない。
  • 精神病の存在は認めるが、精神病院への隔離は非人道的かつ治療の役に立たない。

このうち、最初のものはサイエントロジーで、2が主流の反精神医学。3はマイナーだが、人権活動家などはほぼこれである。

私はどれにも与しないが(そもそも、精神病に関してロクな知識も主張もない)、この3つのうちどれも自分が将来陥りそうだなという予感はある。

(「陥りそう」は偏見的なワードなので、中立を保つなら「目覚める」だろうか)

躁うつとスーパーパワー

話は変わるが、カニエ・ウェストと坂口恭平の二人は、自信の躁うつをポジティブにとらえている。カニエは躁うつを「スーパーパワー」だと自称し、坂口は「才能」と言っている。

「うつ病の人は、そうでない人よりも確率的思考が出来ている」という調査結果がある。

よく「サイコロで5が連続したのだから、次も5が出る確率は高いはずだ」逆に「もう出ない」と確率の陥穽に人は陥るが、うつ病の人は「サイコロの目が出る確率は、前に出た数字とは関係がない」と冷静に判断できる(可能性が高い)。

「根拠のない自信」と「根拠のない不安・無力感」を繰り返す生活は、大変だろうが芸術家にとってはプラスの面も大きいに違いない。

(サラリーマンなら、間違いなくうつ気味で精神は安定している方が良い)

反精神医学ではないが、精神病(と見なされうるもの)を、自らポジティブに捉える姿勢はあっても良いと思う。

カウンセリングなるものがあるが、あれは自ら「治したい」「まともになりたい」と思う方々のためのサービスであり、このままで良いと思っている人を無理やり強制するサービスではない。

(無理やり”精神病”を治すアプローチは、洗脳のノウハウに依拠している)

科学的還元と芸術

科学者に言わせれば、あらゆる芸術は「芸術鑑賞によって得られる『脳内物質』の快感を得るため、人は芸術を鑑賞する」ことになる。

また、小説の主人公の悩みや不安も、「それは脳内物質Xの不足から起こる、体内物質の不順から発生する」と治療の対象としてみなせる

それは間違いではないが、人は自分の悩みや不安、あるいは楽しみ・喜びが「脳内物質」に還元されて語られる言説に反発を覚える。

(「あなたが恋人に会うとホッとするのは、恋人に会うことにより発生するオキシトシンがなすワザで……)

科学的還元に反発心を覚えるのは、そこに個、実存、歴史、物語、文脈が欠落しているからである。

「運命の出会い」が、ほんとうに運命の出会いなのか、ソウルメイトが本当にソウルメイトなのかなど、人々は気にしていない。

順序は逆で、「この人はソウルメイトだ」との根拠なき思い込みから人々は恋に陥り、後になって「この人と出会えて良かった」逆に「この人は運命の人じゃなかった」「バカだった」といった感想が出る。

精神病・精神医学への反発の根底にあるのは、個々の性格や懊悩を一律に非個別的に名付けられることへの反発である。

だから、精神医学に反発する人を説得するためには、相手の信じていることの否定ではなく、カウンセリングや薬物治療で救われた人の事例をどんどん上げていくことになる。

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桜田真助
  • 桜田真助
  • Twitterアカウント:@yamakawa6500
    92年大阪生まれ。なにもかも分かったような気に最近なっていて、これはダメだなと焦って疑問を探している。プロフィール画像は友人(@leilamarinacb)から頂きました。

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