ボケとツッコミの本質的な区分は可能か

「フットボールアワーの例えツッコミは、ツッコミだけどボケの要素も入っている」というとき、ツッコミとボケの区別は本質的にはできないのではないかと思う。

漫才では、一応「ツッコミ」「ボケ」と役割が割り振られているが、バラエティ番組のフリートークでその区分はどんどん見えにくくなる。

結論から言うと、ツッコミとボケの本質的な区分は不可能だと思う。だが、それは「ツッコミ」「ボケ」の区別ができないことを意味しない。

なぜ二つの役割の区別が曖昧になるのかなどの考察も含め、論を展開する。

ツッコミとボケの形式的区分をすれば

発言内容・意味をすべて取っ払って、ツッコミとボケを区別すれば、

ボケ=アクション

ツッコミ=リアクション

になる。つまり、最初に何かを言ったらボケで、それに対する反応=リアクションの言葉がツッコミになる。

漫才だと、ボケの部分以外にも普通の会話があったりするが、本当に形式的に区分をすれば、あれもボケとツッコミなる。当然、日常会話もボケとツッコミの応酬になる。

その区分方法に実際の使い道はなさそうだ。こんな区分は、パソコンのプログラミングでしか用いられない。

本来ツッコミのあるべき形

ツッコミはよく、「観客の声を代弁するもの」と言われる。それはそうなのだが、補足の説明がいると思う。

なぜその”ボケ”が笑いになるのかと言うと、ボケが「常識・倫理」の「こうであるべき/こうでなければならない/こうであるはずだ」のコードから外れた言動・アクションを行っているからだ。

コードから外れた言動に対して、「コードを知っているのか?」なる問いが、もっとも根本的なツッコミの本質になる。典型的には

ボケ→あつはなついね~

ツッコミ→なつはあついね~やろ!

コードの提示と言ったが、例えば「文章の前後の単語を入れ替えるゲーム」をしたとして、「あつはなついね」なる文章はボケではなくなる。コード・ルールに従っているからである。

「フット後藤の例えツッコミは、半分ボケである」というのは、フット後藤の繰り出す例え話が、「説明のための例え話・例話」からかなり離れているところにあるからだろう。

モデルの女性が並んでいるところをみて

「お箸売り場やん!」

とのフット後藤のコメントは、コード・ルールの提示とは言い難い。かといって、コードから遠く逸脱しているわけでもない。

少しキザに聞こえるのが申し訳ないが、フット後藤がやっているのは調性が曖昧な音楽に近い。調・コードを意図的に曖昧にしている。

ボケらしいボケとは

では、ボケらしいボケ、いかにもなボケとは何になるのか。箇条書きで条件を提示すると

  • アクションである(リアクションではない)
  • 明確に、コード・ルールを逸脱した言動であると、即座に理解できる

この2つを満たしたものになる。

よく、バラエティ番組で「ボケはあまり需要がない」と言われたりするが、「意図的に、コードから外れた言動を行おうとする人」だと、ボケがボケでなくなってくる。たとえ話で申し訳ないが、「この人は、いまからコードから外れた発言をしようとしている」とみんなが予想しているなかでボケ続けるためには、並の力量では不可能だろう。

「面白い話を今からします」と宣言した上で、面白い話をしなければならない。そして(しかし?)、「面白い話をします」と前置きがあった上でされる”面白い話”は、実際に笑いが起こる話は、通常の面白い話とは趣が必ず異なっている。

(「面白い話をします」「すべらない話をします」を宣言した上でのおもしろ話は、別競技・別ルールのゲームだと思ったほうが良い。「この前あった話なんですけど」ゲームとは違う競技)

漫才における役割はなぜ固定されるか

矛盾したことを言うが、ボケを言い続ければ「この人はボケを言う人だ」と認識が固定され、ゲームが難しくなるはずなのに漫才のボケツッコミは(通常)固定されるのか?

論理展開から逃げているようで申し訳ないが、この役割分担は慣習的なものでしかないと思う。最初に漫才をやり始めた人間が、固定した方がよりウケると思ったのだろうか?

笑い飯はダブルボケのコンビだと言われているが、それを言うならダブルツッコミのコンビでもある。

笑い飯の場合、「お前は何を変なことをやっているんだ! そうじゃない」との宣言から入って、その上で変なことをやっている。何度も何度も。

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桜田真助
  • 桜田真助
  • Twitterアカウント:@yamakawa6500
    92年大阪生まれ。なにもかも分かったような気に最近なっていて、これはダメだなと焦って疑問を探している。プロフィール画像は友人(@leilamarinacb)から頂きました。

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