ベジタリアンは人工肉の夢を見るか

PinkiiによるPixabayからの画像

まだ言葉が定まっていないが、人工肉・培養肉・合成肉の開発コストが大幅に低下し、何十年後かには食卓に普通に並ぶだろうと言っている人がいる。未来予測ほどアテにならないものはないが、反食肉運動家の皆さんは、仮にこの人工肉の技術が確立され、お手頃価格で購入できるようになったとして、食べるだろうかと疑問に思う。

こちらのアーティクルでは、「実験培養肉(注:人工肉を指す。英語圏でも、まだ”人工肉”を指す言葉は定まっていないようだ)は、菜食主義的ではない」と主張されている。理由は

  • ”実験培養肉”であっても、元となる”細胞”は生きた動物から採取される
  • 畜産産業の規模縮小は出来ても、資源を無駄遣いしていることに変わりはない
  • 動物は苦しみ続ける

云々。

およそ、このようなことを根拠にしている。動物愛護・動物の権利運動で「クルエルティフリー」なる用語が用いられているが、人工肉はその基準をパスできないというワケだ。

動物実験

反肉食(反食肉)運動と強く重なるが、反動物実験運動なるものも当然存在する。気持ちはわかるが、食品が人間に甚大な被害を及ぼさないかどうか、動物で実験して確かめる行為を、非難すべきだとは思わない。

ただ、化粧品(マスカラ)などのために、動物が実験材料にされることに反対するのは、少しわかる。もちろん、「化粧品の安全性を確かめる必要」があるのは分かるが、それなら「既に安全が証明されている化粧品を使え」という主張に、心のうちで首肯している。

…先程貼ったリンクでは、動物実験の代替として、「人工皮膚」あるいは「培養細胞」を使おうと提唱している。未来予測だが、ハードコアに動物実験に反対する者たちのなかに、自らの意思で自分自身の「皮膚・肉」を「元細胞」として提供する者がきっと現れる。

ベジタリアンは人工肉の夢を見るか

反肉食運動家のなかには否定する人も多いが、やっぱり食肉にはメリットが多い。人間の脳は、食肉とともに発達したと言う科学者もいる。

割合が少し高すぎるかなとも思うのだが、「ベジタリアン」生活を決意した人らの84%が、一年以内に肉食を再開しているというデータもある。ただし、この調査では「健康のため」「ダイエットのため」ベジタリアンになろうとしたものも「ベジタリアン」としてカウントしており、”思想・倫理的な動機”から肉食を断った人は、ほぼ肉食に戻っていないだろうと予測できる。

…そう遠くない未来に、「人工肉がスーパーマーケットにお手頃価格で並ぶ」シチュエーションが到来するだろう。そのとき、ベジタリアンは人工肉にどう反応するだろうか?

(2019年現在の技術では、人工肉は自然肉(?)ほどの”美味しさ”は獲得できていない。その辺りの事情は、今回は言及しない)

環境保護的観点・立場から食肉に反対している反肉食運動家は、大義(理由)の大部分を失う。一頭の牛から44万頭分の牛肉を今現在の技術で作れるらしいが、そこまではさすがに誇張だとしても、畜産農家の規模縮小は図れる。

問題は、倫理的不快感・倫理的忌避感を、人工肉は取り除けるかどうかだ。もちろん、たとえ「水から作られた牛肉」であっても、食わない人は食わない。

ホタテなど、痛覚を感じない貝類は食べるという菜食主義者が存在する。ベジタリアンの中には、食べる生き物を選ぶ際「痛覚がある(と認められるか)かどうか」「中枢神経があるか」を基準にしているものがいるのだとか。

「生き物を食っておいて、何がベジタリアンやねん」と言いたくなるが、ベジタリアンの動機を大きく分類し

  • ダイエット・健康
  • 環境
  • 倫理・宗教

この3つに分けた際(上述の”動機”が重なりうるのは大前提)、環境対策のために食肉に反対している人物なら、肉を食う行為自体には抵抗感がない人物なら、養育・養殖された「環境保護・環境維持に貢献する動物」の肉を、食べても何もおかしくないのだ。なぜなら、”それ”は海・山・川をキレイにするから。環境保護に貢献できるから…

話を戻すが、倫理的な理由で、いわば「倫理的ポリシー」から食肉をしない人の場合、「人工肉」は食べそうにないなと思う。なぜなら培養には元となる「生きた動物」を必要とするから。

ただ、「屠殺の現場(状況)を見たトラウマ」から肉食をしない人は、どうなるんだろう?起源は屠殺であっても、その肉自体は屠殺の結果ではない。

…50年以内に、「培養肉のもととなった肉が、培養肉に紛れ込んでしまい、アクシデントでそれを食べてしまった人がメーカーを訴える」事件が発生すると予言しておく。

痛覚とディストピア

ここで一つ、SFチックなシチュエーションを想定する。

「『貝には痛覚がない』『中枢神経がない』との理由で貝を食す人間は、『痛覚がなく、中枢神経もない牛』の肉を食うだろうか?」

「脳のない牛」を延々と複製できる技術を人類が開発したとして、PETAはどう反応するか気になる。

もうちょっと更にグロテスクな事をいうと、上記の「牛」が「ヒト」だったとして、一般人はどうリアクションをとるだろうか。…案外すぐに慣れるかも知れない

桜田真助
  • 桜田真助
  • 92年大阪生まれ。なにもかも分かったような気に最近なっていて、これはダメだなと焦って疑問を探している。プロフィール画像は友人(@leilamarinacb)から頂きました。

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