作品の世界観は物理法則ではない

ラノベだろうと純文学だろうと、歴史小説だろうとSFだろうと、小説という概念でくくれる。

ライトノベルはバカにされがちなジャンルだが、形式だけを取り出せば、「アニメ風のイラスト付き小説」以上でも以下でもない。

挿絵付きの小説は、珍しくない。とくに戦前〜戦後は多かった。

ライトノベルがそれらの挿絵付きの小説と区別されるのは、イラストがテクストとして読まれる慣習ゆえである。

細かなジャンル分け

異世界転生ものなるジャンルがある。典型的には、事故死した主人公が異世界に転生し、その世界で暮らすといったもの。

ほかにも、典型的に見られる要素として、コード化されたステータスだとか、中世ヨーロッパ風の街角、ギルド、魔法の存在などが挙げられる。

各々の異世界転生ものに共通点を見つけることは容易いが、同時に先行作品との差異も見受けられる。例えば、前世の記憶を思い出すタイミング、死ぬ理由、才能の多寡、魔族の存在の有無などなど。

ホラー映画は様式化しているが、「この作品は、どういった攻め方をするのだろう? 何人死ぬのか、それとも全員死ぬのか、最後に怪物・幽霊は倒されるのか、問題は解決するのか」etc。

そういった楽しみ方は、文化的である。新しくもない手法で曲を作るバンドを、あたかも先行バンド・曲なしに認識するよりは、リスペクトが感じられる。

作者はどこまでわかって書いているか

作者の意図、計算、読者がどのレベルで作者の想定内なのか、作品をコントロールできているのか。

後から自作解題で、この作品のこの箇所はこの意図で書きましたとする解説だって、正直なところ怪しい。

見栄を張って分かっていたフリをすることもあるだろうし、逆にカマトトぶることもあるだろう。

(そもそも、なぜ自作解題はよしとされないのだろう? 不思議である)

Jkローリングは、作品外で作内設定を色々語ることで有名だが、あれは作者の二次創作のようなものだも私は思っている。

漫画などの長期連載モノにありがちだが、作品内の世界観が大幅に変化することがある。例えば、ジョジョの奇妙な冒険は最初、波紋なる能力から始まったが、第3部からスタンドなる超能力に変化している。

一部二部の世界にもスタンドがあると考えるよりは、作者荒木が途中で新たな設定を思いついたと考える方が自然だろう。

物理法則と世界観

作品内の矛盾は、突っ込みすぎるとキリがない。

また、なんの脈絡もなく、のちの伏線となることもない不可思議な描写も同様にありふれている。

(ジョジョの奇妙な冒険に、手が両方とも右手の男が出てくるが、その設定が活かされることはついぞなかった)

私が提案するのは、作品内の世界観・物理法則・設定と何かという視点ではなく、どう見るべきかである。

思い出して欲しいのだが、なぜ我々は作品を鑑賞するのだろうか? 楽しみのためである。

ここで、楽しみではなく、今後の創作に活かすため、あるいは語学勉強のため、批評家の立場から見るのならば、正誤・命題のフィルターを通して見ても良いが、一般読者は必要以上に気に取られるべきではない。

作品の世界観・設定とは、一方的に提示されたごっこ遊びのルール・制約である。その多くは時間とともに変化するし、最初に全貌が細やかに提示されることは滅多にない。

スポーツものなどは、例外的にルールがしっかりしている。我々のこの世界にある遊びのルールを引用しているためだ。

みんなが思っているほど、お笑い芸人はおもしろくない説

漫才・コントは、例外をのぞき何度も演じられる。特にウケの良かったものは。

しかし、そのウケの良い作品は最初からウケていたわけではなく、最初の発表から磨き上げられ、あまり反応の良くなかったものを消去し、アップデートにアップデートを重ねて、一応の「完成」を見る。

また、やっている内容が変わらなくとも、演技が洗練することもあるだろう。また、逆に演者が飽きる・ダレることにより、内容が「劣化」することもありうる。

(たまに、CD音源通りに歌わない歌手に文句をつける場面をテレビで見かけるが、『普通の歌い方』を聞きたいなら、CDを聞けば良いのではないかと思う)

作者は、鑑賞者が思っているほど分かっていない。作品は通常、トライアンドエラーと、投機によって構成されている。…そういった観点からすると、編集者に読まれなかった小説とは、なんとも寂しい存在だ。

是非フォローしてください

最新の情報をお伝えします

桜田真助
  • 桜田真助
  • Twitterアカウント:@yamakawa6500
    92年大阪生まれ。なにもかも分かったような気に最近なっていて、これはダメだなと焦って疑問を探している。プロフィール画像は友人(@leilamarinacb)から頂きました。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。